心ゆたかに No.91
発行日 平成23年1月1日
『新年のご挨拶』 天峰建設代表取締役 澤元教哲
清水寺貫主森清範様と(平成22年12月)
旧年中は公私にわたり多くの方々に大変お世話になりました。本年も何卒宜しくお願い申し上げます。
昨年は私の父が亡くなり、大勢の方から弔問を受けました。紙面を借りてお礼を述べさせていただきます。誠にありがとうございました。また、父以外にも個人的にお付き合いのあった方や、お世話になったご寺院でも幾人か亡くなられ、自分ではまだまだこれからと思ってはいたのですが、多少なりとも死というものを意識せずにはいられない年でした(新年の紙面なのに恐縮です)。
私の身に何かあった場合、業務を停滞させてお施主様にご迷惑をお掛けるわけには参りませんので、体制強化と修行のため、昨年より長男の薫に可能な限りお施主様との打ち合わせや現場監督助手を任せてみました。その後経過を見ながら現場によっては助手ではなく監督としても任せました。また、常務の平松には今まで通り新規の仕事のプレゼンや見積り作り、社内全般の取りまとめばかりではなく、新しいお施主様との打ち合わせも任せました。さらに監督の高橋には現場監督の傍ら設計まで任せたりと、社内の限られた人材をフル稼働させて、様々な業務に対応いたしました。本来社長自ら対応すべき業務ももちろんあるわけですが、このように大事な業務をフォローしながらできる体制作りは、何よりも急を要することだと思っています。人材を増やせば業務はもっとスムーズに余裕をもって出来、お施主様によりきめの細かいサービスを提供していくことが出来るのは簡単に想像がつきますが、頭数が多くても、いざという時に対応が出来ないのでは、本当の意味でお施主様のためになりません。まだまだ試行錯誤しながらの段階で、多少至らないところもございましたが、少しずつではあっても確実に体制が整いつつあるのを感じています。真っ先にその恩恵に与っているのは私自身でありまして、お陰様で昨年は例年以上に個人的に時間が作れ、多くの人と出会い、交流を深めることができましたし、いろいろなボランティア活動にも取り組むことが出来た充実した一年でした。
最後に、弊社のホームページもリニューアルしたのでご覧下さいませ。
『お寺・僧侶は「地域の中」でその役割が期待されている』
日本テンプルヴァン㈱ 井上文夫
「寺こそ非営利組織(今様に言えばNPO)の源流」
十二月上旬、浜松近辺に多くの寺院を擁するご宗派の研修会に参加させていただいた。テーマは「今の時代に伝統仏教が期待されていること」、サブタイトルとして「瀬戸際の仏教とならないためには」ということでお話をさせていただいた。
私は冒頭に「瀬戸際に立たされているのは仏教ではなく、お寺なのですよ」と話した。このこともあり、お話が終わってからは、出席者の方々から、少子化や高齢化が一段と進み、宗教離れも起こっている非常に厳しい環境条件の中で、これからのお寺は一体どのようにしていったらよいのか、という切実な感想が寄せられた。
そこで私は一部の地域やお寺で既に始められており、しかも評価も高まってきている「てらこや活動」をご紹介した。「寺小屋」は江戸時代中期に普及してきたもので、上方方面で主に使われていた用語であり、江戸では「手習指南所」という呼ばれ方をしていたそうである。実はこの「寺小屋」は現代社会で新たに生み出されてきた「非営利組織」、つまりNPOそのものなのであり、江戸時代から非営利組織としての「寺子屋」はお寺が主宰し、地域に根ざした活動として行なっていたのである。
ところで経営学の父として著名なドラッガー博士は著書「非営利組織の経営」の中で、「今でも機能している最古の非営利機関は日本にある。それは「お寺」である、と述べている。お寺がその昔、地域のコミュニティーに欠かせない存在であり、その中心的な役割を担っていたことは誰でも知っている。現在ではお寺や僧侶の手から離れ、他の機関に役割が移っていってしまっている。その役割の多くは、それらの業務を専門的に行うNPOなどの各種機関が、昔のお寺に代わって担い、サービスを提供する、という世の中に変化してしまっているのである。
「お寺で『現代版寺子屋』を始めよう」
「てらこや」と「寺小屋」との用語の使い分け方があるが、これには意味がある。いまやこの活動は実に幅広い地域で行われ、参加者が集まる会場も、そしてそれを運営する主体も必ずしもお寺だけではない。例えば国連のユニセフが主体となっている開発途上国向けのプログラム「世界寺子屋運動」(世界中のすべての人が、読み書きや計算を学べるように、教育の機会を提供する運動)では、当該国の条件に合わせた会場が使用されている。また「てらこや」が発祥の地である我が国では、お寺に限らず、活動の趣旨に賛同する宗教団体、例えば教会や神社などお寺以外の場所でも行なわれている。そのために「寺小屋」といわず「てらこや」と称しているのである。
「てらこや活動」の中で最も顕著な成功例としては、「鎌倉てらこや」が挙げられる。
ここで行われている活動内容をご紹介し、具体的にどのようなことが行なわれているかをご紹介する。
「鎌倉てらこや」はメイン会場を建長寺とし、協力を早大が行ない、宗派を問わず寺や神社、教会などが運営の協力をしている。活動としては毎週土曜日に子供達が会場に集まり、二時間学び、三時間遊ぶ。学びの中でマナーや道徳、法話を聞かせる。遊びでは建長寺の竹やぶで採った竹で竹細工を作ったり、水風船投げでずぶぬれになったり、本堂の中でかくれんぼをしたり、本気になって遊ばせる。最大のイベントは、建長寺での夏合宿である。坐禅を組み、精進料理を残さずいただく。食事の前には「いただくこと」の意味をよく言って聞かせる。参加人数は合宿で七十人ほどの大所帯である。
ここまで聞くと、ほとんどのご住職は、そんな大変なお世話は自坊では無理、と仰る。確かにその通りであるが、それをご自坊の関係者(主には家族)だけで抱え込もうとされるから、始めから諦めてしまう。そうではなく、建長寺の場合もそうであるが、外部の協力者(学生、JC会員、地元の青年会など)を上手に巻き込み、一緒になって進めて行けば、それほど案ずるほどのことはないという。
『曹洞宗定光寺様で晋山式』 静岡県磐田市前野
去る十一月二十八日(日)、磐田市前野の八王山定光寺様(福智秀道東堂・松本龍哉新命)において、退董式と晋山結制式が執り行われました。
稚児行列から始まった式典は、穏やかな雰囲気の中滞りなく執り行われました。戦後の苦しい時代から様々な苦労をされながらも、周囲の理解と協力を得て本堂を始めとした伽藍や境内の整備を一代で成し遂げられた東堂は、後進に道を譲ることでほっとしたような、感慨深げな表情をされていました。新命住職は決意の表情で堂々とされていました。檀信徒の方達は、東堂の労に感謝するとともに、新命住職と一緒に新たな時代を築いていくことを誓いました。
天峰建設も焼き鳥と焼きそばを模擬店で振る舞い、賑やかしに花を添えました。今後ますますのご発展をお祈りいたします。
定光寺様の本堂内での式典の様子
・・・生姜(ショウガ)の話・・・
この原稿を書いている今、寒さに悩まされています。足の指が霜焼けになりそうです。何か体が温まるものでも考えようと思っていたら、今回は生姜(ショウガ)が思い浮かびました。
生姜は熱帯アジア原産のショウガ科の多年草で、古くから食用や薬用とされてきました。ちなみに、よく食べられているゴツゴツした部分は、生姜の根の部分だと思われがちですが、実は地下茎なのです。
日本では弥生時代後期にもたらされたとみられ、古事記には「はじかみ」の名で出ています。生姜は魚を煮る時に臭みを消すための香辛料として利用されたり、すりおろしたものが刺身や冷ややっこの薬味として添えられたりと、脇役的に重宝されることもあれば、甘酢漬けや紅ショウガのように主役として扱われることもあります。関西の方では紅ショウガを薄切りにして天ぷらの具にすることもあるそうです。私の父はモロキュウのように生の生姜に味噌をつけてそのままかじって酒の肴にしてしまいます。金山寺味噌ではなく普通の味噌なので、生姜の辛みと味噌の塩辛さで、強烈な味です。風邪をひいたときなどは生姜湯が民間療法として飲まれています。
生姜は中国では紀元前5世紀頃には塩や胡椒とともに保存食用に使われたり、薬用として利用されていたようです。 現在でも生薬として用いられており、単に乾燥させたものは生姜(しょうきょう)、蒸してから乾燥させたものは乾姜(かんきょう)と呼ばれます。ところが生姜にはビタミンやミネラルはそれほど含まれていません。生姜のパワーの秘密は生姜独特の辛みと香りの成分であるジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンにあるのです。これらの成分にはいずれも殺菌作用があります。ジンゲロールは体を温めたり、免疫力を高める働きがあります。生姜を加熱するとこのジンゲロールがより辛みの強いショウガオールやジンゲロンに変化します。ショウガオールは血行を促進し、ジンゲロンは脂肪の燃焼を促します。加熱時間が長いほどジンゲロールは変化して少なくなるので、免疫力アップなら生で、ダイエットならしっかり加熱してと、用途によって加減するとより効果的です。生姜湯も利に適っていたんですね。
『編集後記』
昨年は大変お世話になりました。本年も何卒宜しくお願い致します。
さて、今回もこうして皆様に記事をお届けできることは何よりの幸せと思います。より良い紙面作りのため、ご意見やご感想をお気軽にお寄せいただければ幸いです。
天峰建設 井口