漆と樹液と漆の木
この木は何の木かわかりますか?
『 漆(うるし)の木 』です。
昨年、1年間漆を掻いて(取って)、その後伐採した漆の木の一部です。
いま、静岡浅間神社の社務所ロビーに飾ってあります。
※ちなみに展示用ケヤキの台座は天峰製作。
漆を採取する場合、見ての通り、表皮に傷をつけ底からにじみ出る樹液を取ります。
6月から10月中旬にかけて傷をつける『 辺掻 (へんがき)』という方法で採取。
最初に傷をつけてから4日おきに傷を増やし
25辺ほど掻いたあと止め掻きを行い、その木を伐採してしまいます。
採取時期によって質が異なり、
実際使用する(塗る)場合には『 精製 』といって
摺り練り合わせ、加熱し水分を飛ばし、ろ過するなど
多くの工程を経て実際使える精製漆となります。
静岡浅間神社では、漆塗り建造物で23棟もの国指定重要文化財を保有しています。
いま天峰で文化財工事をしている楼門もその一つですが、
国産漆を大量に使用し漆塗りを行っています。
国内では生産量の少ない漆ですが、今後、静岡市でも生産体制を整えられるよう
少しずつですが調査や植樹などの取り組みが始まっています。
漆の樹液が採取できるようになるまでには10年から20年という年月がかかります。
長いスパンでの計画ではありますが、天峰としても応援し寄り添っていきたいと思います。
平松